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Pineappleman&PoohBee's Life in the Garden City
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Beethoven Cycle - 4 <PB>
BERLIN STAATSKAPELLE
Daniel Barenboim piano, conductor

Beethoven Piano Concerto No.3

Schoenberg Variations for Orchestra, Op.31


清々しく、胸いっぱいの感謝の気持ちを抱え、会場を後にした最終夜。

ピアノコンチェルトは、ある意味「ずるい」と思います。
だって、一人でハーモニーを奏でられるピアノ、一台でオケにもなれるピアノが、オケと共演するなんて、贅沢すぎますもの。

ピアノとオケの掛け合いに胸を踊らせ、ハーモニーの美しさには脳が蒸発して、無の境地へ吸い込まれた数日間。夢のようなシンデレラの夜はおしまい。

バレンボイム氏のベートーヴェンは、めりはりが利いていて、PMの言葉を借りると「一拍一拍をめいいっぱい使っている」、多彩な演奏。
ベルリン国立歌劇場管弦楽団は、マエストロとの信頼関係の見えるプロフェッショナル達。その信頼感に身を委ねて、最終夜は上質な毛布にくるまれているような安心感がありました。

ベートーヴェンを偏愛する私達ですが、このサイクルの一番の収穫は、想いも寄らず、シェーンベルクでした。

この最終夜、公演中にバレンボイム氏自身が本当にレクチャーをして下さるなんて、誰が予想したでしょう?

基本全て暗譜の氏なのに、インターバル後、指揮台に準備された譜面台に、めずらしいね、と話していたのですが、これはレクチャーのためだけ。

非常に難解な「管弦楽のための変奏曲」について、面白可笑しくユーモアを交えながらお話してくださいました。

"BACH"を覚えて、見失わないように!
と何度もこの曲の主題:B-A-C-H(ドイツ音階で、シ♭-ラ-ド-シ)を私達の耳に刻み、そしてその主題がどのように変奏されているのか、隠れている主題を丁寧に音で見せてくれました。

不協和音の苦手な私達は始めから引いてしまいそうな曲が、途端に興味深いものに。少し謎解きを見せてもらったら、もっと知りたくなる。誰にでもわかるように易しい言葉で、知的好奇心を上手にくすぐるバレンボイム氏。見事な指導力、才知、これぞ人間国宝。

おかげで私達はちょっと苦手意識を克服して、これから新しい扉に手をかけることができそうです。

シェーンベルクは将来、人々はシュトラウスを口ずさむようにこの曲を口ずさむことができると考えていたそうです(シェーンベルクの楽観には苦笑ですが、この曲を暗譜できるバレンボイム氏の脳が信じられません、、)。

それでは、できない人のために!
とアンコールはシュトラウスのポルカ。

〆までおつな氏でした。笑

by HappyLah | 2010-02-04 03:16 | うちのARTS
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